自治体特選ストア(Yahooショッピングサイト)から郡山も撤退すべき理由
郡山のおいしい農産物や伝統工芸品、自慢の逸品、隠れた名品を簡単に購入することができる「 自治体特選ストア 郡山(いいBUY!)」をご存知ですか?
郡山市としては、積極的に活用して郡山の一品を全国に広めたいと思っているようですが、私個人の見解としては、撤退すべきだと考えています。
自治体特選ストア とは?
自治体特選ストアというのは、「自治体運営型通信販売サービス」のことで、『地方を愛して、楽しく「いいもの」を手に入れよう。~日本の隠れた「チカラ」、地域の隠れた「銘品」で日本全国を笑顔に~』というキャッチコピー(?)を元に運営しているようです。
売りとしているのは次のようなことです。
1.探し回る必要なし
→ 地元密着型物産通信販売サービスだから地方の厳選された特産、名産が並んでいる。
2.生産者直送だから安心・安全
→ 生産者が心をこめて作ったものを直接発送するので、新鮮な状態で届く。
3.気持ちのこもった贈り物
→ 注文後は一つ一つ梱包され生産者から直接発送。ついつい送りたくなるそんな商品ばかり。
4.自治体お墨付き
→ 生産者をフォローする自治体のお墨付き。だから「失敗した」がない。
5.自分だけのお気に入り
→ 何度もリピートしたくなる自分だけのお気に入りの品がきっとある。
6.故郷のあの味を
→ 昔食べたあの味を久しぶりにと地方出身者からも喜ばれている。※出典:自治体特選ストア
撤退 すべき 最大の理由 ・・・それは 費用対効果
キャッチコピーや”売り”はスバラシイと私も思います。ですが、残念ながら実態はそれに伴っていないようです。
というのも、「自治体運営型通信販売サービス」と謳っていますが、実際には、F&Bホールディングス企業連合(代表構成員 株式会社cotode)(以下、(株)cotode社)が運営しています。
それだけなら、まだ”委託先”として考えれば何の問題もないのですが、運営方法を私は問題視しています。
というのも、ネットショップを独自ドメイン(例えばhttp://koriyama〜)で構築したものではなく、Yahooショッピング上の一つのネットショップとして運営しているにも関わらず、初期費用と月額のランニングコストが異常に高いのです。
具体的にどれくらい高いのか?というと、ウィキペディアによると、
①自治体特選ストアに登録する初期費用が200万円
②運用費として月額15万円
③ネットショップに掲載する写真や記事を書くにあたり別途費用が必用
④売れた場合、売上からさまざま手数料を差し引いて、出品者に支払う
というように、意外と費用がかかるからです。
ちなみに、Yahooショッピングに出店する場合、初期費用&毎月の固定費は無料で利用できます。
商品が売れたときに様々な手数料が発生しますが、シュミレーションによると、100万円の商品が売れた場合、手数料は税込で約4万5千円です。(プロフェッショナル出店の場合)
これって、郡山市のWEB担当者が代理でやってくれれば、初期費用(200万円)とランニングコスト(月額15万円)を支払わなくて済むってことです。そしてそれは、そのまま生産者にとってもメリットがあります。
現状ですと、(株)cotode社に支払う手数料が発生する分、商品が売れたとしても売上から得られる利益が少なくなってしまいますが、行政(郡山市)がyahooショッピングに出店すれば、生産者の利益も確保できます。
いかに、無駄にお金を支払っているのかがわかると思います。
もちろん、サイトを構築するにあたり作業が発生しますので、郡山市のWeb担当者の仕事が増えるという問題が発生しますが、ネットショップって立ち上げ(サイトのオープン)までが大変ですが、オープンしてしまえば、あとは販売管理だけなので、実はそれほど手間はかからないというのが実態です。
それでも、仕事量が増えるのには変わりありませんので、給料をアップさせるとか、Webの活用ってこれからどんどん重要になっていきますので、人材をあらたに確保するという方法で対処すればいいと思います。
少なくとも、うまくいくかどうかわからない自治体ストアに1年で180万+初期費用200万円を支払うよりは、それ以外の仕事をしてくれる人材を確保するか、県内の業者に低額での契約をする方が、先を見越したいい投資になるはずです。
しかし、郡山市は「自治体特選ストア」というブランドを”利用する選択”をしています。
そうなると今度は、「自治体特選ストア」にそれ相応のブランド力があるのか?ということが気になってきます。
自治体特選ストアに ブランド力 はあるのか?
正直これに関しては、計測する方法がないので何ともわかりませんが、一つの指標として、「自治体特選ストア」からどれだけ売上に繋がったのか?ということが参考になると思います。
が、残念ながらその情報も数件なので、あくまで”参考値”としてですが、紹介します。
・2012年12月
→ 大刀洗町議会で、7月25日の開設から12月12日までの売り上げが42万円だったこと、2013年9月定例会でも1年間の売り上げが126万円だったことが報告された。
・2013年4月
→ 多可町について開設4ヶ月の売り上げが、約14万円だったと報じられた。
・2014年10月
→ 松阪市議会で平成25年度の売り上げが5万7805円だったことが報告された。
・2015年1月
→ 鞍手町について加入1年後の総売り上げが20万円程度だったことが報じられた。
→ 石垣市行政評価外部評価委員会が2013年度事業を審査、4月から12月の売り上げが20万円弱だったと報告。
・2015年5月
→ 関市、「売り上げが年経費に到底届かなかった」
→ 京丹後市、「売り上げが運営費を大きく下回り、費用対効果が見込めなかった」(※出典:ウィキペディア)
この情報を要約すると、初期費用200万円、月額15万円(年額180万円)かかっているのに対し、年間の売上が運営費を下回ったどころか、月額分程度の売上だったケースが多かった、ということです。
残念ながら、反対意見(売上に繋がったという旨のもの)は掲載されていないので、偏った情報からの判断になってしまいますが、”あまり売上には繋がらない”というのが現状のようです。
また、2014年3月末には21の自治体が出店していましたが、徐々に減っていき、2016年3月末に7自治体が閉店し、2016年4月には、わずか6自治体しか出店していません。
その残っている中の1つが、郡山市です。
マイナス情報ばかりだと、偏った視点になりそうなので、一応プラスの情報も出しておきます。
なんとコレ、2012年11月の東京ビジネスサミット特別賞を受賞しているビジネスモデルだったのです!
ただ、サイトの名称の変更や運営サイトの変更などもあり、消費者に浸透しないまま、今に至ってしまったようですね。
要するに、「ブランド力がある」とは”言えない”ということです。
売れなかった 原因 は、 WEB マーケティング 力 不足
誤解しないで欲しいのですが、「ブランド力が”あれば”売れる、ブランド力が”ない”から売れない」ということではないということです。
言い換えると、「ブランド力が”あっても”売れない」というケースは往々にしてあるということです。
ですから、「自治体特選ストア」はブランド力が無かったから、ダメだったというわけではありません。
私がブランド力の有無について紹介したのは、そのブランド力を”ウリ”にして自治体に働きかけていたのでは?と思ったので、”そもそも本当に「ブランド力」があったの?”と疑問に思ったので、売上という視点から考察しただけです。
では、なぜ売上に繋がらなかったのか?というと、一言でいうならば、WEBマーケティング力が不足しているからです。
ターゲット誰で、商品の魅力が何で、その商品を買うことでどんなベネフィットがあるのか?など、そういった情報が「自治体特選ストア」には掲載されていないのです。
「自治体特選ストア」のサイトを見る限り、”一昔前”の通販サイトのような、商品を”並べただけ”のサイトになっているのがわかります。
残念ながら、商品をネットショップに掲載しただけでは、商品は売れません。
ネットショップで商品を売りたいのであれば、楽天ショップの売れているお店のように、きちんと商品の魅力を伝えることがポイントなのです。
そういったWEBマーケティングの知識が不足しているので、通販サイトとして失敗していると考えることができます。
郡山市 は、 独自 の” 自治体特選ストア ”を 作るべき
どの自治体もそうなのですが、わざわざ他県の業者に依頼してないで、自分の自治体の業者に依頼したら?と思います。
業種によっては、「できる人がいない」ということもあるかもしれませんが、Web系に関して言うと、自治体の中や少なくとも、同一の県内には詳しい人がいるはずです。
そういう人に、「他県でやってる、こういうのやりたいんだけど・・・」と相談してみたら、簡単かつ効率的・効果的な方法を紹介してくれる可能性は多いにあると思います。
少なくとも、自治体の通販サイトを作れる業者は郡山市にもあると思います。というか、郡山市のサイトを制作している業者に相談するのが一番早いと思います。
ただし、「サイトを作れる=WEBマーケティングの知識がある」とは限りませんので、その辺のこともきちんと確認する必要はあります。
知識がないのであれば、知識がある人を探して、また相談すればいいだけですからね。
いずれにしても、「自治体特選ストア」での売上が月15万円以上ないのであれば、郡山市も、早期に撤退し、独自の自治体特選ストアを作るべきです。
限りある資金を有効活用して、地域の活性化に繋げるためにも、賢明な判断を期待しています。
自治体ストア を 活用するなら?
もし、契約期間などの都合があってすぐには撤退(閉店)出来ないというのであれば、残りの契約期間を惰性で過ごすのではなく、フルに活用することをオススメします。
フルに活用するというのは、アクセスに関する情報を取得し、見込み客の行動フローを分析したり、掲載する内容をこちら側(自治体)主導で行い、売れる販売ページ作りを行ったりすることです。
要するに、イロイロと実験をして、うまくいったこと、ダメだったことの情報を収集・分析し、”独自の自治体ストア”に活かすのです。
もちろん、それで売上が増えたら「閉店せずに、継続する」というのも一つの判断だと思います。
いろいろやってダメだったら、「試した方法では売れない」ということがわかっただけプラスです。あとはそれとは違う方法を試せばいいのですからね。
いずれにしても、残りの期間中を何もしないで放置するのではなく、次に活かすために活用することをオススメします。